性的カニバリズム
「痛ッ!」
ルパンの体の下で五右ェ門が突然声を上げた。ルパンを乱暴に押しのける。
半身を起こした五右ェ門の腕からたらりと赤く、血が流れてシーツを汚した。
傷口を押さえる指の間からもぽたぽたと落ちて襦袢に散る。
五右ェ門の腕に舌を這わせていたルパンがいきなり歯を立てたのだ。それも戯れではない強さで。
「え……?」
青ざめた五右ェ門が真顔でルパンを見る。押しのけられたルパンの方は、ベットから落ちかけた体勢で自分の口に血が付いていないか確認していた。
五右ェ門と目が合うと裸の肩をすくめる。
「あー…わっりい」
そう言いながら五右ェ門の表情をうかがう。五右ェ門がショックを受けているのを見てさすがに少しばかり神妙な顔になった。
しかしその口から出た言葉は
「ちょっと興奮しちゃった」
「興奮…!?」
「悪かったって」
ルパンはベットから飛び降りて救急箱救急箱、と言いながら部屋から出て行った。すぐに抱えて戻ってくる。
押さえていた指をそっとはずし五右ェ門が傷口を覗き込んだ。眉をしかめてつぶやく。
「…えぐれてる」
「んん、そうするともしかしてこれは五右ェ門のお肉かしら?」
ベットの前で救急箱を持ったままルパンがべっ、と舌を出した。ルパンの舌先に白い断片が乗っている。
五右ェ門の目が見開かれる。
「ちょ…、返せ!」
身を乗り出した五右ェ門をかわしてベットの端に腰を下ろしたルパンは舌を戻してけろりと言った。
「食べちゃった」
「貴様ッ」
「返したってもうくっつかないだろ、指じゃねえんだから。ま、指も噛みちぎったらくっつかねえか」
「だからって食うな!」
「落ち着けよ、怒ると余計に血ィ出るから。はい手当て手当て」
さっさと五右ェ門の腕を取り慣れた手つきで手当てを始めた。手早いが少々乱暴ではある。
「どうかしている」
まだ青い顔の五右ェ門がルパンから視線をそらせて吐き捨てた。
「ほとんど皮だったから。肉の味はしなかったぜ」
「ふざけるな!」
「怒るなよ。じゃあおわびに俺の身体も噛み付かせてやるから。食われても文句言わない」
「いらんッ!」
「んだよ、俺のこといらないわけ?」
「そういう問題じゃ…」
五右ェ門がため息をつくのと同時にルパンが包帯を巻き終わった。救急箱をどけ、五右ェ門の横に座る。
「じゃあ痛くないやつあげるから」
言うなり五右ェ門の顎を指先で支え、唇を奪った。その深い口づけに五右ェ門が喘ぐ。
抵抗を封じて更に深く唇が重なり舌が差し込まれた。
ルパンの唾液が五右ェ門に流れ込む。たっぷり時間をかけて口移ししてからルパンは唇を離した。
「どう?」
ひとしきりむせてからの五右ェ門の答えは簡潔だった。
「煙草臭い」
その答えにルパンが苦笑する。
「酷いな、次元よりはマシだろ」
「…それは、どういう意味だ」
零れた唾液を拭いながら五右ェ門が再び真顔になった。飲み込んだ唾液とは違う苦さがその目に浮かぶ。
「あれ、五右ェ門ってばそんな顔も出来るんだ」
その困惑に気が付かなかったフリをしてルパンは五右ェ門を覗き込む。
「かっわいい。そそられちゃう」
「ごまかすな」
「本当だって」
唇に今度は軽くキスする。
「続き、いいだろ」
唇の間から指を差し込み舌に触れた。五右ェ門がんッ…と声を漏らした。耳朶に舌を這わせながらルパンが囁く。
「もう噛んだりしないからさ」
「…当たり…前だ」
既に吐息交じりの声で答える五右ェ門をベットに押し倒した。楽しげに乱れた着物を脱がせにかかる。
「そういう趣味があるのではあるまいな」
五右ェ門はそんなルパンを黙って見ていたが、ふいに尋ねた。手を休めることなくルパンが答える。
「そういう趣味?」
「…人肉食」
「まさか」
くッくッくッ、とルパンが声を殺して笑った。手を止めて五右ェ門を見る。
見下ろす瞳の色は影になって読めなかった。
「人食ったりなんかしねえよ。現代人だぜ?」
そう言いながら五右ェ門の腕を取り、包帯の下の傷口に歯を当てた。
痛みに息を詰めた五右ェ門が抗議の声を上げる前に、その唇を指でとどめる。そしてにやりと笑った。
「だから代わりに犯るんだろ」
一応表に置いてみましたが、これタイトルがすでにR指定ですからね。「痛ッ!」
ルパンの体の下で五右ェ門が突然声を上げた。ルパンを乱暴に押しのける。
半身を起こした五右ェ門の腕からたらりと赤く、血が流れてシーツを汚した。
傷口を押さえる指の間からもぽたぽたと落ちて襦袢に散る。
五右ェ門の腕に舌を這わせていたルパンがいきなり歯を立てたのだ。それも戯れではない強さで。
「え……?」
青ざめた五右ェ門が真顔でルパンを見る。押しのけられたルパンの方は、ベットから落ちかけた体勢で自分の口に血が付いていないか確認していた。
五右ェ門と目が合うと裸の肩をすくめる。
「あー…わっりい」
そう言いながら五右ェ門の表情をうかがう。五右ェ門がショックを受けているのを見てさすがに少しばかり神妙な顔になった。
しかしその口から出た言葉は
「ちょっと興奮しちゃった」
「興奮…!?」
「悪かったって」
ルパンはベットから飛び降りて救急箱救急箱、と言いながら部屋から出て行った。すぐに抱えて戻ってくる。
押さえていた指をそっとはずし五右ェ門が傷口を覗き込んだ。眉をしかめてつぶやく。
「…えぐれてる」
「んん、そうするともしかしてこれは五右ェ門のお肉かしら?」
ベットの前で救急箱を持ったままルパンがべっ、と舌を出した。ルパンの舌先に白い断片が乗っている。
五右ェ門の目が見開かれる。
「ちょ…、返せ!」
身を乗り出した五右ェ門をかわしてベットの端に腰を下ろしたルパンは舌を戻してけろりと言った。
「食べちゃった」
「貴様ッ」
「返したってもうくっつかないだろ、指じゃねえんだから。ま、指も噛みちぎったらくっつかねえか」
「だからって食うな!」
「落ち着けよ、怒ると余計に血ィ出るから。はい手当て手当て」
さっさと五右ェ門の腕を取り慣れた手つきで手当てを始めた。手早いが少々乱暴ではある。
「どうかしている」
まだ青い顔の五右ェ門がルパンから視線をそらせて吐き捨てた。
「ほとんど皮だったから。肉の味はしなかったぜ」
「ふざけるな!」
「怒るなよ。じゃあおわびに俺の身体も噛み付かせてやるから。食われても文句言わない」
「いらんッ!」
「んだよ、俺のこといらないわけ?」
「そういう問題じゃ…」
五右ェ門がため息をつくのと同時にルパンが包帯を巻き終わった。救急箱をどけ、五右ェ門の横に座る。
「じゃあ痛くないやつあげるから」
言うなり五右ェ門の顎を指先で支え、唇を奪った。その深い口づけに五右ェ門が喘ぐ。
抵抗を封じて更に深く唇が重なり舌が差し込まれた。
ルパンの唾液が五右ェ門に流れ込む。たっぷり時間をかけて口移ししてからルパンは唇を離した。
「どう?」
ひとしきりむせてからの五右ェ門の答えは簡潔だった。
「煙草臭い」
その答えにルパンが苦笑する。
「酷いな、次元よりはマシだろ」
「…それは、どういう意味だ」
零れた唾液を拭いながら五右ェ門が再び真顔になった。飲み込んだ唾液とは違う苦さがその目に浮かぶ。
「あれ、五右ェ門ってばそんな顔も出来るんだ」
その困惑に気が付かなかったフリをしてルパンは五右ェ門を覗き込む。
「かっわいい。そそられちゃう」
「ごまかすな」
「本当だって」
唇に今度は軽くキスする。
「続き、いいだろ」
唇の間から指を差し込み舌に触れた。五右ェ門がんッ…と声を漏らした。耳朶に舌を這わせながらルパンが囁く。
「もう噛んだりしないからさ」
「…当たり…前だ」
既に吐息交じりの声で答える五右ェ門をベットに押し倒した。楽しげに乱れた着物を脱がせにかかる。
「そういう趣味があるのではあるまいな」
五右ェ門はそんなルパンを黙って見ていたが、ふいに尋ねた。手を休めることなくルパンが答える。
「そういう趣味?」
「…人肉食」
「まさか」
くッくッくッ、とルパンが声を殺して笑った。手を止めて五右ェ門を見る。
見下ろす瞳の色は影になって読めなかった。
「人食ったりなんかしねえよ。現代人だぜ?」
そう言いながら五右ェ門の腕を取り、包帯の下の傷口に歯を当てた。
痛みに息を詰めた五右ェ門が抗議の声を上げる前に、その唇を指でとどめる。そしてにやりと笑った。
「だから代わりに犯るんだろ」
親同伴ですからね。
珍しくタイトルからできた話。
書くにあたって正確な言葉の意味を知ろうと検索かけたら、検索結果一覧の時点で既にヤバげな絵が表示されてうわあ、って思った。